JIS B1046-2020 pdf download.締結用部品−非電解処理による亜鉛フレーク 皮膜システム.
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,ISO 1891-2による。
4 皮膜の一般的な特性
4.1 亜鉛フレーク皮膜システム 亜鉛フレーク皮膜システムは,通常,アルミニウムフレークを添加した適切な処理液の中で鋼製締結用部品の表面に亜鉛フレークを積層させることによって形成する。加熱(焼付け)によって,フレーク間及びフレークと下地間とが結合され,陰極防食に十分な導電性をもつ無機表面皮膜が形成される。この皮膜には六価クロム(Cr6+)が含まれる場合もある。 皮膜が過剰となったり,又は不足しないように,特別な技術が必要となる場合がある。 軽量及び/又は平らな締結用部品(例えば,座金,クリップ,組込み座金付き締結用部品,フランジ付きナット)がくっつき合うのを防ぐため,特別な技術が必要となる場合がある。 耐食性の向上及び/又は特定の性質[例えば,トルク−締付け力関係,耐薬品性,外観,色,電気絶縁性及び導電性(A.2参照)]を得るために,追加の表層皮膜を施すことができる。
4.2 皮膜システムの構成 基本的な亜鉛フレーク皮膜システムは,図1に示す4種類である。
基層皮膜及び表層皮膜は,潤滑剤を含有していてもよい。可能な組合せの詳細は,A.1.2を参照。
4.3 機械的性質及び物理的性質と焼付けとの関係 皮膜処理工程は,締結用部品の機械的性質及び物理的性質に悪影響を及ぼしてはならない。
注記 皮膜のない締結用部品に皮膜を施す卸売業者は,ISO 1891-4によって,変更卸売業者とみなされる。 亜鉛フレーク皮膜システムによっては,焼付け温度が320 ℃に達することがある。焼付け温度は,焼入焼戻しを施した締結用部品の焼戻し温度を超えてはならない。 警告 焼付け工程(特に,通常より高温及び/又は長時間のもの)は,熱処理後にねじ転造を行った締結用部品の疲労限度に影響を及ぼすおそれがある。焼付けによって起こり得るその他の影響については,A.1.3を参照。
4.4 内因形水素ぜい化の回避 亜鉛フレーク皮膜システムは,蒸着工程中に水素が生成されないという特性がある。 アルカリ性洗浄液又は溶剤系洗浄液を使用した前処理工程の後に機械的洗浄を行うと水素が生成されないため,内因形水素ぜい化(IHE)の全てのリスクが回避される。 機能的な理由で機械的洗浄が不適切な場合(例えば,組込み座金付き締結用部品,めねじをもつ締結用部品,ラック式皮膜処理を行う締結用部品)には,化学的洗浄(酸洗浄)を使用してもよいが,その場合には,内因形水素ぜい化のリスクを最小限に抑えるために,この酸に対する適切な抑制剤を用い,最小限の洗浄工程時間を使用する。硬さが390 HV以上,又は強度区分が12.9若しくはそれ以上の強度の締結用部品は,酸洗浄を行ってはならない。洗浄と皮膜処理との間は,可能な限り時間を置かないようにする。 りん酸塩処理工程を,機械的洗浄の代替手段として用いてもよい(この前処理工程において水素が生成されることもあるが,焼付け工程によってそれが外部に拡散される。)。りん酸塩処理と皮膜処理との間は,可能な限り時間を置かないようにする。 陰極洗浄工程を使用してはならない。 注記 亜鉛フレーク皮膜は水素の透過性が高く,前処理工程中に水素を吸蔵しても,それは,焼付け工程中に外部へ拡散される。
4.5 皮膜システム及び皮膜処理工程 皮膜システム及び関連する皮膜処理工程を選択する際には,締結用部品の種類及び幾何形状を考慮する(A.2参照)。
5 防食性及び試験
5.1 一般 促進腐食試験で得られる耐食性は,特定の使用環境における防食性能と直接関連付けることはできない。しかし,促進腐食試験は,皮膜の耐食性を評価する目的で用いる。
5.2 中性塩水噴霧試験 皮膜システムの耐食性評価には,JIS Z 2371による中性塩水噴霧試験(NSS)を用いる。塩水噴霧室の腐食雰囲気を評価することが要求された場合には,附属書Cに従って実施するのがよい。 中性塩水噴霧試験は,皮膜処理後24時間以上経過した後,“皮膜を施したまま”の状態,すなわち,選別,こん(梱)包及び/又は組付け前の状態で,締結用部品単体について実施する。 表1の試験時間による中性塩水噴霧試験後に,素地金属に視認可能な腐食(赤さび)があってはならない。JIS B1046 pdf download.